第12話
今日は花の金曜日。ついでに月曜日は休日、つまり明日から三連休。
どうして過ごそうかと亜美は放課後が楽しみでたまらない。
周囲では家族や恋人と旅行に行くとか遊園地に行くとか色々飛び交っている。
友人たちから色々誘われたり先輩からはまた変な衣装を渡されそうになるしで忙しい。
といっても、もう予定は決まっている。今までの私とは違うのだから。
放課後逃げるように学校を出てスーパーへ向かう。先輩や由香に捕まると面倒だ。
「おかえり」
「ただい……あれ?おじさん」
「ん」
「朝と服違いますよね」
「……うん」
「お客さん来るなら来るって言ってくださいよ、お茶菓子とか昨日食べちゃったし」
「いや、客は来ないんだ」
「そうなんですか?……変なの」
「ははは」
無事屋敷に戻り夕食の準備。
主人から支給された可愛らしいエプロンをつけて買ってきた素材と格闘。
そこに何時ものように雅臣がおりてきて声をかけてくる。振り返ってあれ?と
首をかしげる亜美。この人は部屋着に着替えるような人じゃない。
なにか何時もと様子が違う。何かあるのだろうか?客がくる訳でもないらしいし。
なにも聞いていない。ちょっと不気味。
「そうだ。連休、何か予定あります?」
「あ、うん。その」
「私は家族で遊園地なんですけどね」
「そうなんだ」
「でも、おじさんを3日も放置すると悲惨な火曜日が待っているので断わりました」
「……ありがとう」
「だから、ご主人様に特別手当貰わないと」
「特別手当って?幾らくらい?」
「まず美味しいもの食べるでしょ?あと観たいホラー映画もあるし
そろそろ通学カバン変えたいし靴もボロボロだし」
「つまりデート?」
「特別手当です」
「つまり荷物もちをしろと」
「あ。今夜はカレーです」
「つまり4日連続カレーなんだね」
「おじさん読心術の先生?」
雅臣はそうかもね、と苦笑してキッチンから出る。
何か言いたそうな感じがしたけれど結局何も言わなかった。
とりあえず準備を優先させよう、空腹で仕方ない。
話があるのなら食事中に言ってくれるだろう。と判断して。
が、結局食事中何か言ってくる様子はなく何時もの通りに終わってしまった。
つづく
2008/10/06 : 加筆修正